5月14~15日に行われた、江戸川区宇喜田町に建てられたI様邸「方舟の家」のハウジングフェスの報告コラムです。
都営新宿線「船堀駅」から歩いて12分の場所にありましたが、まずその風情ある街並みに感動しました。
新川です。船を漕ぐ姿が見え、びっくりしました。
まさにこれから向かうのが「方舟の家」、思わず写真を撮りました!
I様はご夫婦と4歳の息子さんがいる3人家族。
海外にゆかりのある国際色豊かなファミリーです。今までもこの近くに住んでいたとのこと、住み慣れたこの地に暮らしたいと土地を探されていたということです。
そして、「方舟の家」というネーミングは、建築デザイナー後藤宏樹さんのインスピレーションとのこと。I様の願い「とにかく広いリビング」を叶えるために、後藤さんが取った策は何だったのか、気になりますね。
さっそく拝見してみましょう!
「中国の獅子舞」をイメージした外観
後藤さん曰く、この家の顔は「中国の獅子舞」をイメージしたとのこと!2階がせり出したような外観で、まさに獅子舞の口元がイメージできる!
2階がせり出すことで、駐車スペースは確保されつつ雨除けになり、荷物の出し入れも便利になる。木製の外壁もアクセントになり、温かみが感じられる。
近くに奥さまのお母さま(写真左端のお孫さんを抱っこされている方)も住まわれているとのことで、この日そろって記念撮影。写真右端は取締役の高橋邦生さん、その隣は後藤宏樹さん。
22帖の広さと梁見せ天井で広々リビングダイニング
I様からは「とにかく広いリビングにしたい」という要望があったという。
さらに6人掛けのダイニングセットやL字型ソファなど家具は既に購入済み、キッチンはフルフラットにしたいなど、ほかの要望も明確だったという。
ここは住宅密集地。そこで後藤さんは2階にリビングを設定。さらに2階部分をせり出すことで広さを叶えている。北入りの土地なのでちょうどベランダ側が南向きになり光も確保できる。これまで、リビングは1階、寝室は2階、というのが定番だったが、高橋さんは「最近はリビングを2階にする人が増えてきているんですよ」と話す。
1階が寝室だと、万が一の地震でも、すぐ外に出られるというメリットもありそう。
広々空間を実現するため、梁見せ天井にして2700㎜の高さを実現。今回杉板天井はキッチン上部だけにして、リビングの天井は白を採用。というのも、奥さまの要望で、白を基調とし木質感を加味した住まいをご要望とのこと。「リビングの天井まで杉板を使うと落ち着かないよね」と後藤さん。確かに!
小物やアート作品を飾る棚、ニッチがリビングに作られている。壁内部にはマグネットクロスが仕込まれており日頃確認したい書類をきれいに貼っておきたいI様ご夫妻の思いを可能に!
サニタリースペースはリビング横に。2階に寝る以外の生活の全てがそろう。とっても使いやすそう!
奥さまのオーダーが叶ったキッチンは天井の木材の向きをそろえるこだわり
2階に上がり、その広さに圧倒されたが、なによりも目を引いたのがこのキッチン上の杉板。
キッチン部分だけ杉板の下がり天井にすることで、キッチンとリビングを区分しつつ、アクセントにもなり、オリジナリティあふれる空間に。さらに板の向きがそろい、すっきりとした印象!
そして、キッチンは背面のワーキングカウンターまでの広さが1050mmあるので、親子3人で一緒に料理するのにも余裕の広さがある。
仕切りに木製ルーバーを採用することで開放感と空気の流れを確保
木質感と言えば、この2階に上がってくる階段部分にも、後藤さんならではのアイデアがある。
奥さまはルーバーへのこだわりがあり、インスタなどでチェックしているので目が肥えているという。その思いを後藤さんがしっかりキャッチし、ここにルーバーを採用している。インテリアとしての存在感、採光に風抜け、これらを叶えてしまうこの設計デザインは、さすが後藤さんならではであり、C4DLならではだと思う。
第一印象が圧倒的に変わる「廻り縁」C4DLならではの細部へのこだわり
玄関を開けるとこのようにホールが広がり、正面に階段が見える。右手に主寝室、奥に子ども部屋が2つある。白を基調に杉板を使っているので、すっきりとして、かつ飽きのこないおしゃれな空間に。
もしかしたら、「廻り縁(まわりぶち)」の洗練された仕上がりが、このホールの印象を左右しているのかもしれない。
↑廻り縁とは、壁・天井など複数の面や最後の仕上げに取り付ける枠のこと。こちらは、子ども部屋の「廻り縁」。言われなければ気にならないが、段差があるのがわかるだろうか。
↓こちらはホールの「廻り縁」。
なんと職人発信で、段差のないすっきりとした「廻り縁」が作られている。
「エントランスを抜けて一番目に入るホールだからこそ、職人が気を利かせてくれたんだと思うんです」と高橋さんが話すように、C4DLの職人ならではの心遣いだなーと感心しきり。こういった細部に対するおだわりが、職人にまで伝授、浸透している現状に、積み上げてきたものの確かさを感じた!
1階の寝室や子ども部屋も白とルーバーで統一
主寝室にあるウォークインクローゼットは2.6帖もの広さを確保。
I様から要望のあった広さだという。C4DLでは整理収納アドバイザーを頼むこともできるし、施主さまがイメージをしっかりと持っていればそれを尊重し、柔軟に対応してくれる。
子ども部屋も5.3帖と5帖の2部屋を用意している。
シンプルで無駄のない、暮らしやすい居住環境。2階でにぎやかにみんなで暮らす姿や、1階のそれぞれの部屋でくつろぐ姿が目に浮かんできた。
いかがでしたでしょうか?
今回I様は、多くの面で意思がはっきりしていました。新居に新たに置く家具は既に購入済みでしたし、その家具が置けるように後藤さんは設計をしています。家という箱に合わせてインテリアを考えるのではなく、はっきりとしたイメージがある中で実現のために家を作り上げていました。そう、副題は「護るをつらぬく」。I様の確固たる思いを貫けるよう、後藤さんはデザインされたことが伝わってきました。
シンプルで、モダンで、カッコいい「方舟の家」、2階をリビングルームにするメリットを感じつつ、このスタイルがこれから定番になるのかもしれないと感じた取材でした!
次回は、I様邸の建設までのやりとり、ご夫妻の思いなどを、詳しくレポートしたいと思います。
株式会社フィット 大西俊子でした。