建築デザイナー後藤宏樹さんが手がけている現在施工中のY邸
ショールームのようなガレージと集えるスペースがある1階部分のこだわりを紹介します。
現在施工中のY邸は、一見、一つのキューブ型の建物に見えるが、1階は玄関やバストイレが配置されている住居部分とガレージの2つの独立した建物で構成されている。もともと土地が傾斜しており、ガレージ側から住居部分に向かって高くなっているため、あえてその2つを分断し、底面のレベルを変えることによって、車の出し入れがしやすいガレージを実現した。
ガレージ入り口には「性能も良くて開き方がかっこいい」オーバースライダー型シャッターを使用。このシャッターはアメリカではメジャーだが、日本では数年前からメーカーが取り扱うようになり購入しやすくなったという。
ガレージ内の壁は、体育館などの天井材として使われていることが多い「レノウッド」という素材を使用。これはヒノキの間伐材からできており、調湿性能や吸音性能などがあり、環境にもやさしい。「あまり住宅には使用されていないけれど、高性能で新しい素材」と後藤さん。レノウッドを使用することで、ガレージ内をやわらかい雰囲気に演出する。
南側に面する部分は、ガレージに圧迫感を与えないようにフルオープンサッシを使用。そうすることで明るく開放感があり「裏路地のショールーム」のようなイメージに仕上がる。
ガレージ内にはソファとテーブルがおける程度のスペースも設けている。ソファに座ってお気に入りの車を眺めながらお酒を楽しんだり、読書をしたり、自由な時間を過ごせる空間を提供する。
ガレージの脇にはバーベキューセットを置いて家族や仲間と楽しめるようなスペースも。せり出した2階部分が屋根になるので、雨の日でも集うことが可能になる。屋根がなく吹き抜けになっている部分もあるが、「あえて雨を楽しむ空間もいいんじゃないかな」とほほ笑む。
「車で自宅に帰ってきたとき、オーバースライダーのシャッターをリモコンで開け、天井が高く広々としたガレージに車を停める。車から荷物を取り出し、電動シャッターを開けて玄関へ。休日には風通しのいいガレージのソファで、愛車を眺めながらくつろいだひとときを過ごす」そんな生活をイメージしながら、日常生活を格好よく演出できるようにデザインし、幸せを感じてもらえるような空間に仕上げている。
次回は2階部分のこだわりについて紹介します。
株式会社フィット 十津川でした。