第六回 About C4DL コラム<Y邸2階部分について>

現在建築中の千葉市のY邸の紹介は、今回で最後となりました。
先週に引き続き、2階部分のこだわりについて迫ります。

前回のコラムで触れたように、2階にはリビングルームと子ども部屋の二つのキューブが存在する。この二つをどうつなげるか、ありきたりの廊下でつなげるのでは面白くない。後藤さんは、二つのキューブを渡り廊下としてつなげ、廊下の天井に天窓とライトを配置した。そうすることで、昼間は天窓からの光がやさしく廊下に差し込み、やわらかい雰囲気を演出。夜は天窓の上に配置したライトが廊下を照らし、幻想的な空間を作り出す。廊下が単なる通路ではなく、昼も夜も楽しめるドラマ性のある空間になるようにデザインしている。

廊下と寝室の窓の高さにもこだわりを見せる。寝室の窓は、裏の木々を眺めてほっとできるように、高めに配置。一方、廊下の窓は、バルコニーで遊んでいる子どもたちや、ホームパーティーで来客が楽しんでいる様子を腰かけて眺められるよう、低めに配置したという。

窓の位置、配置に注目して図面を見てみて下さい。

寝室の窓サッシ

廊下の窓サッシ

後藤さんが「すべてのデザインは意味を持っている」と話すように、窓をひとつとってもその窓に込めた思いがあるのだ。

後藤さんは自身のことを「永遠の思春期」と分析するように、周りのスタッフも「思春期のように神経が研ぎ澄まされた感覚の持ち主」だという。「子どもはみんな芸術家と言われるが、大人になると子どもの心を忘れてしまいがち。固定概念を払って考える、そのほうがストレスもなくて気持ちいいし、そういう家の方が楽しい」とほほ笑む後藤さん。そんな子どものような心、自由な発想からこの廊下も生まれたのだろう。

依頼主は、後藤さんの提案に対して最初は消極的だったり、遠慮がちになったりする場合が多いという。家づくりが進んでいくうちに、逆に依頼主が費用に関係なく細かいところまでこだわるようになり、金銭感覚が麻痺してしまう場合があるという。そういう時、後藤さんは常にニュートラルな状態で接し、依頼主の要望を聞きつつ、こだわるべきところと、その必要のないところを的確にアドバイスしてくれるので心強い。

固定概念にとらわれない発想の豊かさと豊富な経験・知識もあわせもち、そして常に冷静な目で家づくりに携わってくれる、後藤さんはそんな建築デザイナーだ。

完成は1月末の予定。わくわくするような家に仕上がっているに違いない。
来週はC4デザインレーベルの企画会議に潜入して、C4デザインチームのさらなる魅力をお伝えしていきたいと思います。

株式会社フィット 十津川でした。

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