第七回 About C4DL コラム「企画会議」

先日11月30日、C4デザインチームの企画ミーティングに潜入してまいりました。
とても魅力的な現場の雰囲気をお伝えできればと思います。

******

午後3時からのミーティングは取締役の高橋邦生さん、営業企画の平田宗顕さん、建築デザイナー後藤宏樹さんの3人で行われると聞き、少し早めに社にお邪魔した。

いつもわたしたちが打ち合わせをさせていただくスペースに高橋さんと平田さん。後藤さんはまだ都合がつかず着席ができない中、先に少し話をさせていただいた。

企画会議は週2回ほど行うという。案件が多いので、回数を重ね擦り合わせをしないとお互いの意思の疎通がうまく図れなくなりがちだとのこと。仕事に熱が入り、22時ごろから会議が始まり、終電までになることもたびたびだとか。

今回の案件は、「ビルなどの基礎工事をする職人のための休憩スペースを自社ビル内に作る」ことだった。いかにもという現行の休憩スペースの写真がある。そして、依頼主はおしゃれな休憩スペースを望んでいるという。建物自体が築20年程度、水漏れなどもあるということで、その修繕と休憩スペースを作ることが課せられた内容になる。先方とは先に高橋さんが打ち合わせをしてきている。その際に撮影した、現在使用している休憩スペースの内観、外観など複数枚の写真を見ながら打ち合わせを進める。

依頼主は、職場見学に来た人たちにも好印象を与えられるような、かつ職人がくつろげ、仮眠もできるような格好いいスペースにしたいとの意向を伝えてきているという。高橋さんと平田さんは2人で話をしながら、カフェみたいなスペースがいい、白系で明るくしたほうがいい、靴を脱いで寛げたほうがいい、などと意見を言い合い見取り図を描きながら話を進めていく。

いずれの案件もイメージを3パターン程度は提案するという。今回の案件であれば、カフェ風、工場の片隅のおしゃれな空間、いわゆる普通の休憩スペースの3パターン。イメージとそれぞれの金額を伝え、あとは依頼主が適性を考えながら決める。

「たいてい、ムネさんと二人で話をしていて方向性を定めても、ヒロさんが見事に一蹴し、ひっくりかえされる」とうれしそうに話す高橋さん。「自分たちの考えを『それでいいんじゃない』なんてヒロさんが受ける場合は、大体気分がのってないことが多いんですよ」とも。自分たちが考え抜いた結論を覆されてもうれしそうにそれを話すのは、そこに納得できるものがあるからなのだろうと思いつつ・・・いったいどういうことなのかと気になり、会議が始まるのを待っていた。

クールな印象の後藤さんが会議に合流。初めてお会いした時、何か内に秘めたような、決して多くを語らない、それでいて独特のオーラを発していた後藤さんだが、意外といっては失礼かもしれないが笑顔がやさしく、ホッとさせられた。聞けばC4の癒し系なのだとか。クールな印象だけに、笑顔を見たときは、正直「救われる」と言ってもいいほどうれしくさせられる。この人の持ち味なんだなと改めて思う。

後藤さんは話を聞き、写真や見取り図などに目を通すとひと言。「靴なんて脱ぎたくないでしょ。汚れてもいいようにしてあげたほうが使いやすい。寝床は上げてもいいけれど、土禁なんて論外だよ」と。水漏れがあるなら湿気もあるからクロスなど貼っても仕方ない。「きれいに作ったって、絶対きれいになんて使わない。雨だって仕事はするから、きれいに作ったら、汚しちゃうからって使わなくなるよ」と一蹴。
高橋さんも平田さんも二人顔を合わせて「なるほど・・・」と妙に納得がいったような表情。私自身も目から鱗、高橋さんと平田さんが、後藤さんに提案を一蹴され、見事に方向が変わると言っていたのはこのことかと感心させられた。「環境に合った提案をする」ことが後藤さんの持論。今回でいえば、「汚れてもいいもの、職人だから汚れたら自分で貼り替えられるようなものにしたほうが親切」と後藤さんは言う。

客はこうしたいとイメージしてくる、高橋さんや平田さんはそれをうのみにして考えてしまう、しかし後藤さんは現場に行かずして実際にそこを使う人のことを考え落とし込められるために、上記のような展開になる。「言われたとおりに作ってもいいけれど・・・」と後藤さん。

「インダストリアルデザインを取り入れ、土木作業員が格好良く休憩できるスペース」、H鋼でベンチを作ることなどを提案。「こういうことにもつかえるんじゃないないか」という発想で使っていくという。

また、新しい建材の使用も提案していく。今回はFRPグレーチングというものを使おうとしていた。側溝の蓋は以前は金属だけだったが、明るい色の素材が生まれている。そういったものを使うこともどんどん提案している。

依頼主のイメージを形にするため、欲望を叶える貪欲さを持つ。提案内容にはもちろんきれいに使うことを前提にしたパターンも用意し、さらに使う人目線での提案もしていく。立地と場所とを考慮し、イメージを形にし、夢を形にしてくれる。ミーティングはその大事な第一歩であることがわかった。

次回はC4デザイン開催の「第8回座談会」についてレポートします。
株式会社フィット 大西でした。

This entry was posted in C4DLコラム. Bookmark the permalink.