半年ぶりのC4DLの座談会が開催されました。テーマは「『もうそう』が現実になる、その時」。デザイナー後藤さんがデザインをしていくうえで「人工芝を裏返し、空中に浮かせて天井を作れないかなぁ」と「もうそう」したことが今回のテーマにつながったということです。
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座談会に集まったのは、前列左からC4DLのナカムー(中村容子さん)、タガミッチ(田上紀子さん)、クニオ(高橋邦生)さん、「FMふくろう85.8」のスーパーバイザー丸林剛さん。後列左からC4DLのハンサム(佐々木優(ゆう)さん)、中国で会社を経営し、海外を股にかけ仕事をしている中山愁さん、英会話講師の稲村祥江さん、手技整体院「咲蛙」経営の柔道整復師宇田川登志弥さん、C4DLのムネ(平田宗顕)さん、ヒロ(後藤宏樹)さん。
定番「本日のおみや」は「京都祇園仁々木」の「果実の福」。平成22年創業のまだ若い会社で、伝統的な京菓子にとらわれることなく、現代人の趣向に合わせた革新的な和菓子を想像しているとのこと。どこかC4DLさんと通じるものを感じたのは私だけではないと思う。
進行は高橋さん。「この会は座談会なので、堅苦しく答弁する場ではないです」と冒頭で説明。テーマに対して結論を出すわけでもなく、もやもやを感じて持ち帰り、自分なりの結論を見つけてもらえる場になればいいと伝えた。
高橋さんから今回の座談会資料「『もうそう』が現実になる、その時」が渡された。「もうそう」という言葉から、頭に浮かぶ漢字は「妄想」だろう。辞書を引いても、ネット検索してもほかの漢字は見当たらない。
1. はじめに
「妄想」はある種ネガティブなイメージがあることは確かだが、妄想すること自体が悪いことではなく、「妄想」はさまざまなイメージが湧いてきて、モノやコトを生み出す人には大切な能力だと思うと高橋さん。「ポジティブな妄想、全てはそこから始まる」と言い切り、「望想が現実となるその時、それがいつしか運命になるのでしょうか・・・」と投げかけ、座談会がスタートした。
2. 概要
3.「もうそう」とは?
「妄想」に似た言葉として、「発想」「想像」「理想」「夢」「こだわり」「自分の世界」「想い」「被害妄想」「思い込み」「アイディア」などが紹介された。
このテーマの「もうそう」という言葉から、どんなイメージを抱くかについてそれぞれ順番に話した。平田さんは「夢」、中村さんは「想像」、稲村さんは「夢と少し被害妄想」、丸林さんは「妄想の最中にいます・・・」、宇田川さんは「望想・アイデア」など、今回の参加者はどちらかというとポジティブな印象を抱いていることがわかった。
4.「もうそう」のポジション
情報収集がないと「妄想」は始まらないが、妄想だけで終わることは多いだろう。中には、得た情報から思い込みなども生じ、ネガティブな被害妄想へ発展してしまうケースもある。一方情報を整理して発想し、「望想」して、イメージを具現化しシミュレーション、プランニングし実現へと導くポジティブかつクリエイティブな思考へと発展するケースもある。
5.「もうそう」するとどうなるか?しないとどうなるか?
そして、情報がないと始まらない「妄想」だが、「妄想」は自分の中だけで行われることだが、これを外に発信(アウトプット)すると「発想」になると後藤さんが話すと、みんな感心した様子で納得。そして良いように妄想すればいい結果に、悪いように妄想すれば悪い結果を招いてしまうものかもしれないという話も。中山さんからは「妄想は対策で、ピュアで無意識の部分。妄想しないとすごく無防備で危険だらけになるのではないのか」と話があった。そして「情報→妄想→発想は1パッケージで、1個だけ取り出すことはできない」とも。
ネガティブな妄想になってしまったときにどうするか?という高橋さんの問いには、宇田川さんは「寝て忘れる」と回答。「寝て起きたらその日やらなければならないことへシフトしている。たまに思い出しても時間が解決してくれる」とも。後藤さんは「自分のこだわり、考え方だけに縛られず、先輩方の話を聞くなど視野を広くするようにしている。解決の糸口が見つかることもある」と話した。
6.「妄想」と「望想」
高橋さんから、「妄想」と「望想」についての話があった。
「望想」の最後の「覚悟」はキーワード。後藤さんは「妄想が発想になった時点で、人が動きお金が動き、会社は借金して・・・というように多くの人に迷惑をかけることになるので、生半可な覚悟ではいけない」と言う。「人生は苦難の連続で、何も起きない人生なんてない」という話も。
諸外国でデザインの勉強や仕事をしてきた中山さんは「被害妄想は日本人特有で、外国人は絶対自分は悪くないという考え方をする。日本人はそれがなく、人に迷惑をかけてはいけない、かけたくないという思いが強い。その日本人の奥ゆかしさは素晴らしいことで、日本人特有の感覚。だからこそクリエイティブな発想をするのではないか。その文化が素晴らしい」と話があった。
途中参加のハンサムこと佐々木優さんは、ラグビーをやっていたということで、「妄想はイメトレだ」と話す。「寝ている時さえすごい自分をイメトレし、現実にはうまくいかないのでどうすればいいかを考える。妄想は、『理想』に近づくため、自由に考えていいものだと思う」と発言。
7.望想から全てのクリエイティブなことが生まれる
中山さんは「30代までは妄想が自分を支えていたが、今68歳で妄想しなくなった」と話す。多くのことが経験値で予測できるという。「このメンバーで座談会するにあたっては、往年発想していくことをみんなが知ることも大事かもしれないね」と笑う。「若い人にはしっかりポジティブに妄想していける仕組みを用意してあげることが大事かもしれないですね」と後藤さん。「ただし、情報があふれている現代には妄想する余地がないのかもしれない」とも。
「いい妄想ができるように、若い人は海外に出ていろんなものを吸収してほしいと思う」と中山さんならではのメッセージもあった。一流のものを目にしてほしい。一流と言われるものは、考え尽くされたデザイン、無駄なものが削ぎ落されたデザイン。妄想のための情報をたくさん得るためにも、若いうちに外の世界に触れてほしい」と話があった。
最後にそれぞれの絶賛妄想中のことを発表してもらい、髙橋さんはマザーテレサの言葉で締めくくった。
その言葉にもグッときたが、参加者からは「楽しかった」「めっちゃ笑った」「まさかこんなきれいに収まるとは思わなかった」などの感想が飛び交い、座談会は終了した。
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次回の座談会開催は未定ですが、とにかくテーマに沿ってそれぞれの考え方を知り、自分の想いも発信できる場です。答えがあるわけではないので、発言に良いも悪いもなく、高橋さんの言うように、テーマに沿ってみんなでいろいろな意見を言い合い、再確認、再認識ができる場です。考えもしなかった明日への活力へのヒントが見つかるかもしれません。
株式会社フィット 大西でした。