建築デザイナー後藤宏樹さんが手がけている現在施工中のY邸
今週と来週で2階部分のこだわりを紹介します。
そして、今回から少しずつコラムを担当する大西・十津川の想いも乗せていこうと思います!
現在施工中のY邸は1階の玄関を開けると右手に天井まで靴が入れられる大容量のシューズインクローゼット、正面にバストイレのサニタリー系、左手に階段がある。
階段を上ると2階の13帖のリビングへ。2階は2つのキューブ型の建物が、バルコニーと渡り廊下でつながる造りになる。夫婦の寝室はリビングと同じキューブ内に設け、
もう一方のキューブは子ども部屋として5.3帖ずつ全く同サイズのシンメトリーになる洋室を用意。
リビングだが、南側に全面開放の窓を作り、写真を見ていただければわかるように、緑の木立を絵画のように眺められる造りにしている。場所を尊重した構造、
木々の変化を感じながら生活できる空間は、かなり贅沢な時間を手にできるだろう。
そしてリビングから子ども部屋へは、バルコニーと渡り廊下でつながるので、一周する感覚で行ったり来たりの動線が可能。建築デザイナーの後藤さんは、
子どもたちがぐるぐる走り回る行動も想定している。
その動線をスムーズにするための一工夫が、床面のフラットな造りになる。部屋とバルコニーをつなぐ部分に段差があっては危ない。ベランダやバルコニーに出るのに、
普通またぐ段差があると思うが、そこをあえてフラットにすることにこだわるのは、人がスムーズに動けること、リビングの延長としての空間と想定しているからだという。
そして、バルコニーに施主がウッドデッキをセットしたいという要望を叶えるため、セットした段階でフラットになるようにも設計している。
*上図面ではまだウッドデッキが反映されていませんがイメージ参考まで。
バルコニーは洗濯物を干すことを想定し、布団を干すスペースも確保。道路に面している北側に花ブロックという沖縄産のブロックを使うことで、
通気性も叶え、しっかりとした目隠しも実現している。花ブロックに似た素材は他にもあるが、後藤さんがここには沖縄産の本物を使うことを提案。
沖縄からの取り寄せなので輸送費がかかるという点でコストが上がるようだが、「簡単に取り換えられるものではないので、
そこには価値のあるもの、本物を使うことを提案しますね」と後藤さんは話す。費用をかけるべきところとかけなくてもいいだろうところの線引きを、
彼は的確に提案できるだけの実績を持っているのだろう。
後藤さんは、使いたいと思う素材は、機が熟すまで待つが、絶対使ってみるという。コスト的に使えるタイミングを計りすぐ使うことで、手が届く価格帯を、
かつ先端をいく素材で実現している。
デザイナーと依頼主の関係性についても話を聞いた。後藤さんは依頼主の話をまずしっかりとヒアリングし、依頼主が何を求めているのか、
そしてそのためにはどんな素材で実現できるかを考えるという。その引き出しは多彩でかつ的確だ。デザイナー自らが依頼主の話をじっくり聞く時間を何回も取り、
できる部分できない部分を納得のいく形で提示してくれるというから心強い。
次回は2階部分のさらなる魅力を紹介します。
株式会社フィット 大西でした。